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コラージュ療法&創作コラージュ療法 ブログトップ

日本カウンセリング学会第44回大会でのポスター発表と國分康孝先生 [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★ 私が講師役を承っている放送大学心理臨床研修会新潟の有志メンバー5人が,上越教育大学で行われた日本カウンセリング学会第44回大会で共同ポスター発表をしてきました.

★ タイトルは『うつ病や抑うつ状態の不安悪循環を防ぐカウンセリング法研究』,副題は『クライエントと理解が共有できる「創作コラージュ療法」事例を通して』でした.

★ 共同ポスター発表はまず小論文の冒頭で,
 『うつ病や抑うつ傾向のクライエント(以下Clと略す)の多くは,「①症状そのものによる苦しみ」,「②快復見通しがはっきり立たないことによる,不安からくる苦しみ」といった二重苦を併せもっている.
 その結果,不安からくる苦しみが症状を悪化させ,それがまた不安を募らせ更に症状を悪化させるといった悪循環が繰り返されることが多い.
 本研究はClにも理解できる創作コラージュ療法を用いることによって,そのような悪循環を断ち切りながら症状の改善や課題解決を進めるカウンセリング法の研究に関するものである.
 つまり,カウンセラー(以下Coと略す)だけでなく,Clにも理解し易いコラージュを心理アセスメントやカウンセリングに用いることにより,不安を軽くしながらClの症状改善・課題解決に寄与しようとするものである』
……と,その発表目的を述べることから始め,その後,事例を紹介しながら創作コラージュ療法を用いてのカウンセリング法を解説するといったものでした.

★ 共同ポスター発表には,自分の発表をそっちのけで説明を聞きに来て下さった大学院生の方から,「分析はねぇ~」と批判的な立場で議論をしにきた方まで色々な方々にお越し頂いたそうです.

★ 前者のような方はともかく,後者のような方が未だにいらっしゃることには,本当に残念に思わざるを得ません.

★ 心理臨床やカウンセリングの世界は『机上論や空想論』で成り立っている学術領域ではなく,『臨床現場やカウンセリング現場で役立てることを前提に研究が進められている実践的学術領域』だからです.

★ 私たちはその昔,ナタリー・ロジャーズの表現アーツ・セラピーを学び実践を始めました.

★ その後,より有効なアート・セラピーを志向してコラージュ作品の「分析も行う」創作コラージュ療法にたどり着きました.

★ 従って非分析派のコラージュ療法も,分析派のコラージュ療法も経験した上で,「分析も行う」方が善いという結論に達しました.
※:正しくは,分析しフィードバックした方が善いClの方には分析を行い,分析してフィードバックしない方が善いClの方には分析をしない,というのが私たちの立場です.

★ 私が識る限り,はじめから「分析はねぇ~」と否定的に論戦を挑んでこられる方は,そもそも分析したことも,分析技法を研究したことも全くない方がほとんどです.

★ はじめから「分析はねぇ~」といった議論を挑んでこられる方,私が心から尊敬している数少ない先生の一人でもある元日本カウンセリング学会会長の國分康孝先生が,日本カウンセリング学会報59号リレー・エッセイ:『新米カウンセラーであったころ』にお書きになった記事を,日本カウンセリング学会員ならお読みになっていらっしゃると思うのですが,どのような感想をお持ちになったのでしょうか?

★ 國分康孝先生の『新米カウンセラーであったころ』:【ロジャーズかぶれ】
 私は二十代のある時期,ロジャーズに心酔していたことがある.
 そんなある日,ある母親からこんな相談を受けた.
 「私には12歳の子どもがいます.しかし,ある病気のために20歳までしか生きられないのです.母親の気持ちとしては,わがまま放題にさせてやろうという気持ちと,きちんとききわけのよい子に躾けるべきかという気持ちが相闘っています.私はどうすればよいでしょうか」
 私は「どうすればよいか迷っておられるわけですね」といった類の応答しかしなかった.
 その母親が立ち去ったあと私は罪障感を持った.人がはるばる来訪されたのに,何のたしにもならない面接だった,と.
 そこで私は師匠の霜田清志先生まで出かけていった.
 「こういう場合は何と答えるべきだったのでしょうか」と.
 霜田先生はこう教えた.
 「國分君,そういう問題は心理学になじまない問題である.君の人生哲学を丸出しにして答えたらよいのだ」と.
 これがその後私が,実存主義や論理療法や仏教など思想,哲学に関心を持つようになったきっかけであった.
 今考えてみると,当時の私は理論中心のカウンセラーであった.
 理論に人を当てはめようとしていた.
 クライエントに合う理論や方法を選ぶという老婆心がなかった.
 来談者中心という美名のもとに理論中心の面接をしていた.
 こういうにがい思いがあったので,その後アメリカに留学したとき,ためらいもなく折衷主義・統合主義をとり入れて自分のカウンセリング・モデルをつくることにしたのである.
 特定の理論を信奉することによって,クライエントに心ならずも交差的交流をしてしまったことにこりた私は,理論志向のプロフェッショナル・アインデンティティ・(例;フロイディアン,ロジャーリアン,ラショナルセラピスト)はとらなかった.
 カウンセリング・サイコロジストが今の私のアイデンティティである.

 

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御茶ノ水女子大学での創作コラージュ療法&自律訓練法日曜研修:放送大学心理臨床研修会 [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★ 御茶ノ水女子大学の講義室をお借りしての,初めての創作コラージュ療法&自律訓練法日曜研修会を行ってきました.

★ 今回ご参加下さった方の最北の方は,秋田県からお越し頂いた独身でイケメンのA男さんでした.

★ また最南の方は,静岡県浜松市からお越し下さった大和撫子タイプのB子さんでした.

★ 遠くから,本当に有り難うございました.

★ 今回の研修会でご紹介させて頂いたコラージュの1つに,東北地方関東沖地震で被災された岩手県の方の作品がありました.

★ 私の受講生で,岩手県のスクールカウンセラーをされている方の作品なのですが,被災者の方の心情や今,置かれている状況などが非常に善く表れている作品でした.

★ そこで作者の方に,「ぜひ私の講座で紹介させて下さい」とお願いして快諾を頂くことができましたので,銀座ルノアール八重洲北口会議室での講座でのご紹介に続いて,御茶ノ水女子大学の研修会でもご紹介させて頂いくことにしたものです.

★ どちらの会場でも,受講生の方や研修生の方から,「貴重な作品を拝見させて頂けて,本当に有り難うございました」といった感想文を頂きました.

★ コラージュ作品のご紹介を快諾して下さいました受講生の方には,本当にこころから感謝しているところです.
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創作コラージュ療法&自律訓練法日曜研修班:放送大学 心理臨床研修会 [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★ 放送大学心理臨床研修会の「創作コラージュ療法&自律訓練法日曜研修班」が,2011年度は御茶ノ水女子大学(茗荷谷駅徒歩6分・護国寺駅徒歩7分)の講義室をお借りして行われることになりました.御茶ノ水女子大学の講義室をお借りしての研修は,15年以上続いている研修会としても初めてのことです.

★ この研修班のコラージュ研修の特徴は,
 ① マガジン法(参加者やクライエントの方に,コラージュ材料として使う雑誌やカタログ,チラシなどを持参して頂く方法)によるコラージュの創作実習.
 ② 投映法(投影法)心理アセスメントの一技法としてのコラージュの,投映分析法の基礎を研修.
 ③ コラージュを用いることによって社会復帰に成功した「実際事例のコラージュ作品」などを観ながら,その用い方を研修.
……といった内容になっていることです.

★ コラージュ療法には,「解釈や分析的なことを一切しない,すべきではない」と断言している学派も確かにあります.

★ ただ,クライエントさんのパーソナリティは元より,その置かれている状況,課題になっている問題,あるいは罹っている症状は千差万別です.

★ 従って実務を続けていると,主人公のクライエントさんにお目にかかる前から「(クライエントさんが作ったコラージュ作品について)解釈や分析的なことは一切しない,すべきではない」といった姿勢で臨むことは,本来,脇役のセラピストやカウンセラーの姿勢として如何なものか,ということに気づきます.

★ つまりクライエントさんを『十把一絡げのように同一』に捉えて,「~一切しない,すべきではない」といった姿勢で臨むのではなく,「一人ひとりのクライエントさんを『個性あるひとりの人』として実際に接した上で,最適な用い方を心がける姿勢こそがセラピストに求められる姿勢のはずということに気づきます.

★ そこで,「解釈や分析的なことをしない方が善いと思われるクライエントさんには『そのように! 接しましょう』」,また「分析して結果をフィードバックし,共通理解を深め合うことに役立ててセラピーを進めた方が善いと思われるクライエントさんには『そのように! 接しましょう』」といった接し方ができるようになるための基礎を研修していきましょう」,ということになるのです.

★ なぜなら上記のように,「分析の要・不要」に合わせたセラピーを行おうとしたら,どうしても『分析できるような研修』をしておかなければならないからです.

★ このような考えにご賛同下さり,興味をお持ち頂けた方は,下記の「放送大学心理臨床研修会」のホームページをぜひ一度お訪ね下さい.
  臨床心理士や臨床心理士を目指す方から,自己啓発目的の方まで,いろいろな方が一緒に楽しく研修している本当に希有な研修会です.

 『放送大学心理臨床研修会』(「~研“究”会」ではなく,「~研“修”会」です)で検索して頂ければお訪ね頂けると思います.



 



  
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《その4》コラージュ療法の易しさ手軽さ,難しさと危険性…… [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★東京芸術劇場での体験セミナーを終わってみて,感じたこと思い出したことに触れてみたいと思います.

★数年前のことです.某大学教授在職中に統合失調症を発症して休職,その後復職できるまでに回復し,今は通院しながら通勤しているとおっしゃる方が体験セミナーに参加されました.

★その方は昼食時に堂々と,「私は統合失調症で,現在も通院中です~」と自己紹介されました.また自己紹介の中で,「統合失調症は特に隠さなければならない病気ではなく,他の病気のように『今,私は統合失調症に罹っています』とお話ししたとしても,本来何も問題ないはずです.それなのに多くの統合失調症患者の方々が隠すのは,周りの偏見が恐ろしいからです.皆さん,私は統合失調症への偏見をなくすため,理解を深めて頂くためなら何でもお話ししますので,私のところへ聴きに来て下さい」と呼びかけられました.
 ※:現在,東京芸術劇場での体験セミナーでは参加者同士の自己紹介は行っていませんが,当時は昼食時に全員,自己紹介をして頂いていました.その時の,50人近くいた参加者を前にしての自己紹介でした.

★そしてその後,昼食時間中とコラージュ創作実習時間中,周りの方や統合失調症について教えを請いに行った参加者を相手に発症時の自覚症状,急性期・入院中の自覚症状(その頃に思ったこと,感じたことなどの記憶を含みます),その後退院して通院しながら復職に備えていた頃の自覚症状(同上),現在の自覚症状と業務状況などの詳細をお話し下さいました.
 ちなみにその方が罹っていた大学病院精神科では,コラージュを取り入れていました.急性期を過ぎた段階の,かなり早い時期からコラージュを継続して創っていらっしゃったそうで,その作品の変遷過程についても詳細に説明されていました.
 その作品の変遷過程,今回,周りの方に「統合失調症のコラージュ作品は~」と解説されていた大学教員臨床心理士のような方にこそ,本来,学んで頂きたいこととして思い出しました.

★ところで体験セミナーでは終了後2時間ほど,学習相談会兼懇親会が行われます.
 今回も行ったのですが,残った方の中にお一人,「コラージュは他のところで習った経験があって,数回創ったことがあります.コラージュを見れば『うつ病などになりかけの人』ということがすぐに分かるので,私の未病教室で使って『うつ病など』を未然に防ぎたい思っています」とおっしゃる方がいらっしゃいました.
 そこで私が,「コラージュを数回創ったことがあるだけで,『うつ病などになりかけの人』ということが分かるのですか?」と尋ねすると,「はい,分かります!」と即座に断言されたのです.
 そこで更に私が「仮に分かってとして,コラージュを数回創ったことがあるだけで,『うつ病など』を未然に防ぐセミナー運営方法を身につけたということですか?」とお尋ねすると,「はい!」と返事をされるのです.
 余りに自信満々の態度なので,臨床心理学や深層心理学の基礎の基礎的知識について質問してみたのですが,その方は,そのような専門知識については全くご存じありませんでした.
 ただ彼女は,「わたしはパーソナルカラーを永年やってきているので,コラージュ経験は余りなくても(元々)分かる力を持っている」といった趣旨のことを主張してきました.

★私はパーソナルカラーというものが,一体どのようなものなのか詳細を知りません.従ってそれ以上の遣り取りはしませんでした.
 パーソナルカラーって,そんな力がつくものなのでしょうか?
 ※:体験セミナー終了後の学習相談会兼懇親会は,お酒などを飲みながら雑談形式で行われています.従ってそのような遣り取りがあったということは確かですが,必ずしも正確な遣り取りではありません.

★いずれにしても,本当にコラージュって『易しさ手軽さ,難しさと危険性……』を胎んだものだと思います.

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 《続》コラージュ療法の易しさ手軽さ,難しさと危険性…… [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★私からAさんに返信したメールは,以下のようなものでした.

☆Aさんへ,体験セミナー開催に異論を挟んできた某臨床心理士宛に,mixiを通して私からの返信をお伝え下さい.
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 某臨床心理士の引用文章「投影分析という言葉は初めて聞きました.多分,作品の解釈をすることだとは思いますが,それであっているでしょうか?」
 私の回答「違います.近喰ふじ子先生の東京家政大学大学院を会場として開催された平成13年6月の日本教育臨床研究会(会長:聖心女子大学教授<当時>橋口英俊先生)での発表や,平成14年9月の日本心理臨床学会第21回大会における発表(座長;氏原寛先生)以来,既に私は再三にわたって『投影分析的視点による理解』という言葉を使って,『解釈』とは違うことを述べています.その折り,近喰先生や橋口先生,氏原先生をはじめ他の先生方から,特に異論反論はありませんでした.『投影分析的視点での理解』についての詳細は,宜しければ体験セミナーでどうぞ」
 ※:橋口英俊先生(医学博士)はその昔,杉浦京子氏が大学院修士課程の院生の頃,コラージュを研究テーマにしていた彼女の修士論文指導をした,コラージュ療法の産みの親的存在の先生です.

 某臨床心理士の引用文章「しかし,コラージュを初め,こういう芸術療法では,あまり分析や解釈をフィードバックしない方が良いと言われてます.コラージュを作った森谷寛之先生もそのようなことを言っていたような気がします」
 私の回答「『~しない方が良いと言われています』とか,『~そのようなことを言っていたような気がします』ということは,あなたは少なくとも自分では『(芸術療法領域の)実践経験が全くない』ということですね? 実践経験を積んでからのご意見を期待します.
 本来臨床現場は,机上論・空想論の世界ではありません.
 なお,投映分析的視点によって理解できた内容をフィードバックした方が良いかどうかは,ケース・バイ・ケースです.
 ただはっきり言えることは,クライエントさんの症状・状態・パーソナリティなどによって,『フィードバックした方が良い場合』と『フィードバックしない方が良い場合』とがあるということです.
 それを,あなたのように『(どんなクライエントさんの場合でも)~フィードバックしない方が良い』と決めきってしまう態度は,千差万別の症状や状態を示すライエントさんたちの立場を考えると,(本来,まずクライエントさんの利益を考えなければならないのがセラピストのはずなので)セラピストとして本当に申し訳ない態度と私には思えてなりません」

 某臨床心理士の引用文章「もちろん,治療者の中である程度の見立てをし,仮説を立てることは大切ですが,それ以上に患者さんからの感想やそれに対する態度などを傾聴していくことがより治療的であると思います.
 また,一つの作品を根掘り葉掘り掘り返していくよりも,継続的に作品製作をしてもらい,その経過を追いながら,変化したところ,変化していないところなどを見ていくことがとても大切です.
 さらに,作品は患者さんが一人で作るものですが,そこには転移といわれる,治療者の姿がどこかに投影されていることが多いです.ですので,できるだけ一般的な解釈ではなく,患者さんに即しての今ここでの状況を把握した上で,扱っていくことがとても大切です」
 私の回答「以上のご指摘は,当然過ぎる前提条件です.その上で,私たちは実践を積んでいるのです.あなたも臨床心理士なら,あなたの机上論・空想論ではない実践に基づいたご主張を,改めて是非,今後の日本心理臨床学会などでご発表して頂けることを心から期待して止みません」
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

★某臨床心理士の引用文章を冷静にご覧になれば,某臨床心理士にはコラージュ療法を含むアートセラピー領域の実践経験が全くないことはお分かりのことと思います.それにも関わらず某臨床心理士は,パソコン画面で「体験セミナー」の案内を見るやいなやパソコンの前に座ったままで,あたかも自分自身が豊富な実践経験者であるかのような空想にふけり,空理空論を重ねて批判を展開することになりました.

★ここにコラージュ療法を含む,アートセラピー領域全般に共通する危険性があると言えます.

★アートセラピー領域の技法は,誰にでも易しく手軽にできるイメージがあります.その「誰にでも易しく手軽にできるセラピー」というイメージが,取りも直さず「どんなクライエントの方でも易しく手軽に受けられるセラピー」という意味で,実はアートセラピー領域を有効たらしめている最大の理由だと思います.

★ところがこのことは同時に,アートセラピー領域に「諸刃の剣」としての危険性をももたらすことになっています.

★某臨床心理士のように全く実践経験のない者までに,このような空理空論を振り回す余地を与えてしまうのが,アートセラピー領域の実情なのだと思います.


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コラージュ療法&創作コラージュ療法,質問と回答(1) [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★―地域コミュニティーの復権を求めてー「私たちの日常生活は,ささいな気づきや工夫でずいぶんと変わります.ほんの少しのおせっかいと,ほんの少しの自分へのいたわりを提案します」ということで,NPO法人認知症指導協会や富士フィルムRIファーマ株式会社などの協力を受けて「創作コラージュ療法」のワークショップを社会貢献活動としてされている私の受講生がいます.

★その方が参加者募集用の案内原案を見て下さいと送ってきました.原案には「当日ご持参頂く物,チラシや不要の雑誌類2~3冊,はさみ,カッター,糊」としてありました.
 そこで,「カッターは削除した方が良い」とアドバイスをしました.

★アドバイスの理由は,東北大学大学院教授の川島隆太先生のご研究ご説明の中に,「包丁でリンゴや大根の皮むきをしている時には脳全体の血流量が増えるが,皮むき器で皮むきをしている時の血流量は脳のごく一部分しか増えていない.従って認知症などの予防や改善に役立てようという意味では,包丁で皮むきをした方が良い」といった趣旨のものがありました.

★川島先生のご研究ご説明は包丁と皮むき器による皮むき行為中の脳内血流量とその部位に関するもので,コラージュに関するものではありません.
 ただこの川島先生のご研究成果をコラージュ創作過程に援用しようとしたら,当然,包丁による皮むき行為=はさみによる切り抜き行為,皮むき器による皮むき行為=カッターによる切り抜き行為,といった組み合わせとみなして創作行為に臨むのが相応しいのではないか,という仮説が成り立ってくると思うのです.
 そこでこの方に限らず,どなたに対しても同様の相談があった場合には,「カッターは削除した方が良い」というアドバイスをすることにしている訳です.

★その方から今日,改めて「カッターについての質問」がありました.その方に限らず,当然の疑問・質問と思えましたので,その方からの質問と私からの回答をご紹介させて頂きます.

★質問の1「確認です.カッター使用禁止事項につきまして,雑誌等ページものの中から使用したいピースを取り出そうとする際にページをカッターで切り取り,個々のピースはハサミを使うようなケースがありますがこのようなものも含まれるのでしょうか?」

回答「このような用い方の場合は問題ありません.ただ初めから『はさみ』だけを持参品に指定すると,参加者・受講者はそのような必要性を感じた場合,はさみの先端を使って切り抜きますので,カッターがなくても実際上は問題ないと思います」

質問者の2「メカニックなものですとか,昆虫など精密に切り抜こうとした時に自分は,カッターで彫刻を彫るようなイメージで切り抜こうと思うのですが,カッターの使用ができないと精密な切り抜きのピースを作ろうという気に思いがいかないのですが?」

回答「コラージュ創作を『創作カタルシスを得る手段』,あるいは『創作カタルシスさえ得られればよい』,『芸術作品として創作する』と捉えるのであれば,カッターに限らず用具は全て無制限にすべきだと思います.
 その場合は『絵画教室』,『写真教室』,『料理教室』,『手芸教室』といったセミナー類と同様の効果が得られると思います.
 但し『認知症の予防・ある程度の改善効果を期待』とか,『うつ病の予防・改善効果』に極めて有効という『創作コラージュ療法』の特徴は,相当程度減少するものと思います」

質問者の3「定規とカッターでキュウビズムのようなものですとか,きちっとしたものを創ろうとするそのような気分が損なわれてしまうように思うのですが.定規とカッターでキチキチのものを創るのも,その方のその時の素の状態の表現でだと思うのですが.自分の中では,ちょっと窮屈感と違和感が生じてますが,どうしたものでしょうか?」

回答「持参する刃物に『はさみ』だけを指定していても,持ってくる人は『カッター』も持ってきます.一般市民を対象とした体験セミナーのような集団のセミナーでも,心理臨床現場での個人セラピーでも,参加者あるいはクライエントの方が納得してコラージュ創りに取り組んでこそ有効性が高まります.
 いずれにしてもセミナーの開始時に,『東北大学大学院教授の川島隆太先生のご研究では,皮むき器での皮むき時は脳内血流がほとんど見受けられませんが,包丁での皮むき時は脳内全体に豊かな血流がみられます.
 このご研究結果を援用すると,カッターでの切り抜き時は脳内血流が少なく,はさみでの切り抜き時は~と思われます.ということですので皆さん,少し苦労して,はさみで切り抜いて下さい』といった説明で,『切りにくいところを工夫して切り抜きましょう』といった雰囲気作りをすれば,全く問題ないと思います.
 事実,カッターを使わないように教示し始めてからも,細かく切り抜いた作品が多数創られてきています(立体的な作品を含めて).
 なお,定規の使用・不使用は自由です.
 ちなみに上記質問の2.3.のような作品を創りたいと思う方は,臨床心理学的な意味では非常に健康度の高い方なので,教示に反してそのような創り方をされるのであればそのまま自由にして頂ければ良いと思います.
 『臨床心理学的な意味では適応状態でも,この頃何となく不安定といった方』,『認知症的傾向が始まりかけている方』,『軽度認知症の方』,『抑うつ傾向が始まりかけている方』,『抑うつ神経症,軽中度うつ病の方』,もちろん『精神科クリニックなどでうつ病の診断を受けた方』などは,はじめからそのような作品創りをする状態ではありません.
 従って『チラシ』の内容にあるセミナー目的からすると,私はやはり『カッター』を持参する物から外し,上記の説明をした上で『~はさみを使って下さいね』と教示した方がベターだと思っていますが,如何でしょうか?」

★それにしても今,このように創作コラージュ療法を利用して各地で社会貢献活動に取り組んで頂ける方や,事業として活かして頂ける方が増えてきたことを,大変嬉しく思います.

★しかもこの方の場合,富士フィルムRIファーマ株式会社というスポンサーらしい協力者を見つけて開催することになったように思えます.
 この方がある程度の収入に恵まれ,スポンサーにとっても社会貢献活動になり,参加者にとっても有益というのがスポンサー付きの社会貢献企画です.
 本当に,成功して頂きたいものです.

★他の方にも役立つご質問,有り難うございました.





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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑩ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★ちなみに『コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑦』で触れさせて頂いた,私や近喰ふじ子先生の実験事例をはじめ,各所の実験で観察された「コラージュ台紙用に白画用紙とカラー紙の双方を準備すると,クライエントの方やセミナー参加者の方々が物珍しく感じる回数まではカラー紙を選択しますが,回数を重ねる毎に,まるで物珍しさがなくなっていくかのように白画用紙選択へと収斂されていきます.従ってコラージュ療法の本質としては,白画用紙のみをコラージュ台紙として用意すれば充分で,カラー紙を準備する意義は“コラージュ療法を継続して行う場合の時などに,クライエントやセミナー参加者の方々の気分転換になって良い”,という以外には見出せません」といった結論が一旦出されていました.
それにも関わらず,どうして『コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑧~⑨』では,白画用紙選択へと収斂されていくどころか,益々カラー紙選択へと拡散していき始めることになってきたのか,……といった点についての私の仮説をご紹介させて頂きます.

★私にしても近喰先生や他のセラピストたちにしても,コラージュ台紙用に白画用紙とカラー紙の双方を準備して実験を行い始めた頃に文具事務用品店から購入したカラー紙は,文具事務用品店が小学校や中学校へ納入してするために常時在庫していた数色の原色系カラー画用紙過ぎませんでした.

★従って結果的には私も近喰先生も他のセラピストたちも,ほぼ同じ小中学校納入用原色系カラー画用紙数色を購入して実験に臨むことになりました.
 原色系カラー画用紙は通常,平均的日本人にとって見る眼に刺激が強い(いわゆるケバケバしさがあり,見続けると次第に飽きてくる可能性が高いという意味)という特徴がありました.
そこで物珍しく感じるうちはカラー紙をコラージュ台紙として選択しても,刺激が強過ぎ,次第に白画用紙選択へと収斂していくことになった,ということの可能性が出てきます.

★その点,倒産した画材商から購入したカラー紙は色の種類が圧倒的に多く,つまり原色系カラー画用紙だけではなく,中間色のカラー紙が多く含まれていました.
 中間色系カラー紙は通常,平均的日本人にとって見る眼に刺激が柔らかい(いわゆる見ていて温和しく,落ち着きや穏やかさを感じさせるという意味)という特徴がありました.
 そこでただ物珍しさからコラージュ台紙にカラー紙を選択するといった意味ではなく,その時その時の創作者(クライエントの方やセミナー参加者の方々)の気持ちを反映しやすい色彩のカラー紙を選択肢続けることが可能になったために,白画用紙に収斂していくことなく,むしろカラー紙を選択し続けるといった拡散的傾向を示すことになった可能性が出てきます.

★ つまり,以前の私や近喰先生の実感結果と今回の結果が真逆の結果を示すことになった理由は,数色の原色系カラー画用を用いて行った実験と,多数の中間色系からー紙をも用いて行った事例との違いによるもの,
 ……という結論を導くことになったのでした.
                      (つづく)

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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑨ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★私は私のセラピールームでのクライエントの方々のカラー紙を含むコラージュ台紙選択状況と,講師をしているセミナーや放送大学心理臨床研修会会場でのやはりカラー紙を含むコラージュ台紙選択状況の観察を続けました.
 その結果,「どうして以前にカラー画用紙を用いた時には私のセラピールームのクライエントの方々を含め,どこのセミナー会場,研修会場でもカラー紙から白画用紙に収斂していったのに,今回は(というより最近は,という感じの受け止め方でした)収斂していかないのか」,いやむしろ,「コラージュ台紙は白画用紙と決めきっていた(以前にカラー画用紙を用意した時にも,カラー画用紙には一切目もくれずに白画用紙を選択していたクライエントの方々やセミナー生,研修会員の方々)までがカラー紙へと“拡散”していくのか?」ということは疑問のまま解決しませんでしたが,新たな発見がありました.

★それは,『私のセラピールームでクライエントの方々がコラージュ台紙として選択するカラー紙の色彩と,私が講師をしているセミナー生や放送大学心理臨床研修会員の方々がコラージュ台紙として選択するカラー紙の色彩との間に,明らかに違いが見受けられる』ということでした.

★また『クライエントの方々は,精神科や心療内科の主治医の先生方の診断名の違いによって,コラージュ台紙として選択しやすい一定の色彩傾向が見受けられ,その選択しやすい色彩傾向は,症状の改善に伴って一定の選択変遷傾向(症状の改善が進むに従って,選択されるカラー紙の色彩が変化していく傾向)を示すように見受けられる』ということでした.

★そこで私はこのもっと詳細に観察してみようと思い,取引先の文具事務用品店に「手に入るカラー紙を全部,取り寄せて頂きたい」と依頼することにしたのでした.依頼に応じて文具事務用品店が取り寄せたカラー紙は,全部で74色でした.
 その後,74色のカラー紙全てをセラピールームに並べておく訳にもいきませんし,またセミナー会場や研修会場に持ち込むこともできません(1色あたり10枚ずつ用意するとしても,B判四つ切りサイズの厚紙を740枚持ち運ぶことは,重量的に不可能です)ので,クライエントの方々やセミナー生,研修会員の方々のカラー紙選択状況を観察して,『セラピーやセミナー時のコラージュ台紙として選択して頂くカラー紙として,最低限これだけの色彩種類は必要で,かつこれだけの種類があれば十分条件という色彩種類を求める試み』を始めることにしたのでした.

★その結果,コラージュ台紙をして用意するカラー紙は,コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑥や⑦でご紹介した17色は最小限必要で,かつ17色あれば最大限でも充分という結果を見出すことになったのでした.
                      (つづく)

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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑧ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★それは,いわゆる「バブル経済崩壊」と言われ,永く続く不況が始まった頃でした.私のラボで取引していたある文具事務用品店から「画材商が倒産し,カラー紙がタダ同然で手に入ります.必要なら手に入れてきますが~」という電話が入ったのでした.

★本来,カラー台紙を準備して行うコラージュ療法は,前回の⑦でご説明した通り「物珍しいうちは喜んで選択するが,数回で白台紙に収斂していく.従ってたまに気分転換として用いるなら意味があるが,コラージュ療法としてはそれ以上の意味は見出せない」という結論が各所でほぼ出ていました.従ってタダ同然で手に入ったとしても,ちり紙交換の材料にしかならないのであれば無駄な購入になってしまいます.
 そのため少し迷ったのですが,私のラボは元々,来談者中心療法や認知行動療法といった言語を中心にしたセラピーだけではなく,描画やコラージュをはじめとするアート系のセラピーをも有効に併用して効果を挙げているラボなので,いずれ何かに役立って無駄にはならないだろうということで,相当量(倒産した画材商の方にはお気の毒なのですが,1枚いくらではなく,一束いくらといった値段でした)を手に入れて頂けるようお願いすることにしたのでした.

★文具事務用品店から届けられたカラー紙は,いろんな紙質のものが混じり合ってはいましたが,コラージュ創りの台紙に使えるものばかりで30数色ありました.
 私は早速,これらを私のラボのコラージュ療法セミナーや放送大学心理臨床研修会の会場に持ち込んで使い始めることにしました.それと同時に私のラボの個人セラピーでもクライエントの方が選択できるように用意し始めました.
 タダ同然で手に入れたカラー用紙でも,少しでもちり紙交換の材料にならないよう努力をしなければならないからでした.
 それに従来の経験では,「数回は物珍しさからカラー紙を使うはず」なので,取り敢えず,「白画用紙に収斂し始めるまで」は持ち込みを続けて消費量を増やそうということからでした.

★カラー紙をいつまでコラージュ台紙として選び続けて頂けるのかなぁ~,という気持ちを抱きながら,毎回,カラー紙を数百枚ずつ用意し続けました.
 ※:各色10枚ずつ用意したとしても,30数色だから300数十枚を各会場に持ち運びしなければなりません.紙は結構重いので大変でした.

★ところが5回,10回と回を重ね続けても,私がカラー紙を用意した会場ではどこも「白画用紙に収斂していくこと」はありませんでした.
 むしろ,以前文具事務用品店で在庫していたカラー画用紙を準備した時には一時的にカラー画用紙でコラージュを創り,すぐに白画用紙に戻った私のセミナーの受講生や放送大学心理臨床研修会会員たちの多くが,今度は白画用紙に戻らないばかりか,「今日はどの色を台紙にしようかしら?」と楽しげにカラー紙選びを続けているのでした.
 それどころかカラー紙を用意し始めてから私のセミナーや放送大学心理臨床研修会に参加した方たちは,ほぼ全員がはじめからカラー紙をコラージュ台紙として選び,その後も白画用紙にはほとんど手を出さないのです.

★私のラボで個人セラピーを受けていたクライエントの方々も同様でした.セラピーが始まった頃には白画用紙しかなかったクライエントの方も,カラー紙を用意し始めてから個人セラピーを受け始めたクライエントの方も,ほとんどのクライエントの方がカラー紙をコラージュ台紙として選び続け,白画用紙に収斂していく現象は全く起きませんでした.

★以前にカラー画用紙を用意した時には「わずか数回で白画用紙に収斂され」ていき,それも私が講師をしている会場だけではなく,近喰ふじ子先生の会場でも他のセラピストの方々の会場でも「白画用紙に収斂され」ていったのが,今回はどうして白画用紙に収斂されていかないのか,むしろ白画用紙をコラージュ台紙として選び続けていた方々たちまでが,どうして今回はカラー紙の選択を楽しむかのようになったのか,新たな疑問と同時に,新しいコラージュ療法あり方を示す研究課題としてクローズアップされることになったのでした.
                      (つづく)

                    (つづく)

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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑦ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★ところで前回,部屋の隅のテーブルに四つ切りサイズ17色のカラー台紙を,一覧で全ての種類が分かるように少しずつずらしながら置きます.色の種類はクリーム,サーモン,黒,灰,青,焦げ茶,赤紫,紫,赤,青緑,山吹,黄緑,群青,黄,葡萄,緑,白です.つまり臨床色彩心理学でいう,「台紙の色彩分析に必要な最小限且つ最大限の数の17色」です.
 ※:参加者の中に小学生までの方が入っている場合は,四つ切りサイズの他に八つ切りサイズも置きます.
 ……と記しました.

★このカラー台紙17色がどのようにして選ばれたかについて説明したいと思います.

★いわゆるコラージュ療法が試行錯誤的に始められた頃,台紙は白画用紙だけでした.そういった試行錯誤の中で,台紙にカラー厚紙を用いたら何か変化が見られるだろうか,といった疑問が当然湧いてきます.
 そこで何人ものセラピストが,各所でカラー台紙を用いてのコラージュ療法を試してみることになりました.

★ある時,当時佼成病院小児科医長だった近喰ふじ子先生がコメンテーターとして招かれていたコラージュ療法研究会場で,発表者がカラー台紙と白台紙とを用いて行ったコラージュ療法事例を発表した時のことでした.
 その事例(集団成作)では,はじめの数回はカラー台紙が盛んに選ばれたが,次第に選ばれなくなり,6~7回目以降は全く選ばれなくなってしまったことが報告されていました.
 コメンテーターの近喰先生はその報告説明を受けて,「実は私もカラー台紙を試してみたことがあるのですが,私も発表者と同じように,患者さんたちは最初カラー台紙に飛びつき,そのうち白台紙に収斂されるようになりました.従ってコラージュ療法は,カラー台紙を用意する意味はなく,白台紙で充分ということのように思います」とおっしゃっていました.

★実は私もその頃,放送大学心理臨床研修会と私が講師をしていた民間セミナーで,小中学校に事務文具類を納めている事務文具店にあったカラー台紙全色(7~8色だったと思います)を買い入れ,試していました.
 結果は上記の発表者の発表や近喰先生のご経験と全く同じでした.
 当時参加していた放送大学心理臨床研修会会員と民間セミナーの受講生は合わせて100名近くだったのですが,そのほとんどの会員受講生が数回は面白な様子でカラー台紙を選びました.ところがやはり数回だけで,あとはほぼ全員が白台紙をえらぶようになっていったのでした.
 そこで私も,自分の結果と近喰先生のご経験をふまえ,「コラージュはカラー台紙を用意しても,カラー台紙が物珍しい時だけは選ばれるが,そのうち白台紙に収斂していくので,結果的には白台紙のみを用意すれば良い.カラー台紙を用意することは,クライエントの方などの気分転換になる程度のようです」といった結論を出していました.
 そしてその後はしばらく,カラー台紙の購入を止め,本業のセラピー場面でも,放送大学心理臨床研修会や民間セミナーの会場でも,白台紙のみでコラージュ創作を続けるようになっていました.

★ところがもう一度,カラー台紙を使い始め,しかもカラー台紙を使った方が良いという結論を導き出すきっかけになる出来事が,一本の電話から始まったのでした.

                    (つづく)

コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑥ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★創作コラージュ療法の実際
 日本で一般的な,いわゆる「コラージュ療法」の実際については,既にいろいろな先生方がご紹介されていますので省略します.
『創作コラージュ療法』としてコラージュ創作を始める時の実際は,以下の通りです.

★集団相互創作法
①部屋の隅のテーブルに四つ切りサイズ17色のカラー台紙を,一覧で全ての種類が分かるように少しずつずらしながら置きます.色の種類はクリーム,サーモン,黒,灰,青,焦げ茶,赤紫,紫,赤,青緑,山吹,黄緑,群青,黄,葡萄,緑,白です.つまり臨床色彩心理学でいう,「台紙の色彩分析に必要な最小限且つ最大限の数の17色」です.
 ※:参加者の中に小学生までの方が入っている場合は,四つ切りサイズの他に八つ切りサイズも置きます.

②部屋の中央付近に大テーブルを用意し,参加者にはテーブルの周りを取り囲むように座って頂きます.
 ※:学校の教室のように小さなテーブルしかないところでは,小テーブルを中央に集めて大テーブルを作ります.
 ※:小テーブルを集めて大テーブルを作る場合,セラピスト側で開始前に前もって大テーブルを作っておくよりも,開始時間になってから「済みません.皆さん,ちょっとテーブル運びを手伝って下さい.このテーブルはあちらの方へ~」といった要領で,全員に大テーブル作りのお手伝いに参加して頂くことから,その日のデイ・ケアーやセミナーを始めることにするのも1つの方法です.
 なぜなら人というものは通常,誰かの役に立つということは嬉しいことの1つです.特に初めて参加して下さった方にとっては,その『お手伝いカタルシスとでもいうべきちょっとした満足感』と,「もう少し右側がいいかしら?」,「もう少し前?」といった『自然なコミュニケーション活動』の始まり,『全員が一緒になって作業をしたことによる一体感:連帯感』などによって,それまで感じていた緊張感やプレッシャーなどから,リラックス感に導かれる有効な導き手になり得るからです.

③コラージュについての簡単な説明を行います.
 CT:「コラージュはフランス語で,素材をニカワで貼って作品を創る行為と,出来上がった作品のことを言います.1912年にかの有名なピカソたちが始めました.今日はニカワではなく糊で貼って作品を創って頂きます」
 ※:ある学会の発表会場で上記のように「~かの有名なピカソたちが~」と説明したところ,「君たちはピカソが最初にコラージュを創ったと思っているのかね? 違うよ,ブラックだよ」とわざわざ言いに来た学者がいました.
 学者の立場としては,当然の指摘だと思います.ブラックの方がピカソより何ヶ月か早くコラージュ作品を発表しているようです.
 ただ私は学者ではなくセラピストです.一般に余り知られていないブラックが創り始めたコラージュと紹介するより,ピカソの名を出して紹介した方が親しみを感じて頂けるはずです.そこでブラックは,「ピカソたち」の「たち」の中へ入れて紹介させて頂いているのです.
 目的が美術史を知るということではなく,コラージュに親しむということなので,より親しみを抱きやすい人を紹介しながら説明した方がベターとの判断によるものです.
 ※:アメリカに永く住んでいてネイティヴ・アメリカン(=アメリカ・インディアン)の研究をされていた方と知り合いになったのですが,その方によると,既に16世紀頃にはネイティヴ・アメリカンの生活の中に,大きな布に小さな布片を貼り付けるように縫い込んで作品化し,贈り物などとする習慣があったとのことでした.
つまりその研究者によると,「コラージュの始まりは16世紀,ネイティヴ・アメリカンの人たちによって~」と紹介すべきですとのことでした.
一理ある主張だと思いますが,コラージュが16世紀に始まったのか,20世紀に始まったのか,あるいはネイティヴ・アメリカンの人々によって始められたのかピカソたちによって始められたのかといったことは美術史研究家の方々の研究に委ねたいと思います.
私たちが取り組んでいるのは美術としてのコラージュではなく,臨床心理学,とりわけ深層心理学の知見に基づいた,アート・セラピーとしての創作コラージュ療法だからです.

③コラージュ創作についての教示を言います.
CT:「ご持参頂いた雑誌やチラシなどから,気の向くままに選んだ物を切り取って,(部屋の隅に準備してあるカラー台紙の方を示しながら)あちらに置いてある台紙の中から気の向いた色の台紙を選んで,気の向くまま自由に貼り付けて下さい.そして『もうこれで貼り付けるのは終わり』と思った時が,コラージュ作品の出来上がりの時です」
※:教示とは心理学の専門用語で,セミナー参加者,被験者,クライエントたちに講師やセラピストが,「コレコレをして下さい」とお願いすることを言います.
※:コラージュ創作を,投映法心理アセスメントの一技法としての意味合いを持たせながら行いたい時は,創り始める前の教示で「ご持参頂いた雑誌やチラシなどから『好きな物』を選んで~」とか,「『好きな色の台紙』を選んで~」,あるいは「『好きなように』貼って下さい~」といったように,『好きな』といった言葉をなるべく使わないようにすることが重要です.
なぜなら,例えば色彩を例にとって説明すると,人の色彩に対する好き嫌い感情はかなり長期間変容しません.従って「『好きな色の台紙』を選んで下さい」と教示したとすると,参加者,被験者,あるいはクライエントは,いつも同じ色の台紙を選び続ける可能性が出てきてしまいます.
そのような弊害の可能性を少しでも少なくするために,「『好きな』何々を~」ではなく,「『気の向いた』何々を~」という,あるいは「『自由な気持ちで選んだ』何々を~」といった教示の仕方をすることになります.

④CT:「では皆さん,創り始めて下さい.ちなみに周りの方とは自由に話しをして頂いて結構です.また周りの方がお持ちの写真類の中で,自分の作品にどうしても欲しい物を見つけたらご遠慮なく,その持ち主の方に『ご不要でしたらその写真,譲って頂けませんか?』と一声お掛けになってみて下さい.声をかけられた方は,もしその写真などがご不要でしたら,声をお掛けになった方にお譲り下さい.その際,できれば『あなた,コレ,欲しいの? で,いくら出す?』などと,こんなところで商売気を出さずに,無償でご提供頂きたいと思います」
 ※:スタートの時に,参加者,被験者,クライエントの方々が少しでもリラックスできるような冗談を入れた教示ができればベターです.「こんなところで商売しないでね」といった冗談は,現在のところ,有効なようです.
                         (つづく)

タグ:コラージュ
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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析⑤ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★コラージュ療法における作品の見立て(心理アセスメント)と解釈
 近喰ふじ子先生は,
①「作品を見立てるということは,その作品から病態を診断することであり,どのように作品を読み取ったかに通じる.すなわち,作品から何を受け止められたかであり,コラージュでいえば作品全体からのイメージ,切り抜きからのイメージ,文字からのメッセージが参考となる.

②また,作品を見立てるには,なんといっても感性が必要である.作品を見て何に心を動かされたか.これまでに培ってきた常識的センスが基礎となる.作品を前に,自分の内なるこころの動きに素直に従い,制作したクライエントの内なるこころと対話することである.そのため,1枚のコラージュ作品でも読む人によって感じ方が異なるのは当然のことである.

③コラージュ制作後にテーマを聞く.そのテーマが今の自分の気分や気持ちを伝えていることがある.また,未来へのメッセージであることもある.文字の切り抜きがテーマになっていることもあり重要なメッセージとなる.

④コラージュ療法は画用紙に表現されたそのものから感じ取ることをよしとし,言語化してしまうと表現した際の心理とは違ったものになるため,個々の切り貼りの意味するところについては具体的に聞くことは避けた方が良い.制作の際にどのように感じたか感想を聞くことは問題ない.

⑤継続的にコラージュ作品を制作させることで制作の流れ,作品の変化からクライエントの心理的変化が読み取れ,内的理解を得ることが出来る」
 ……と述べていらっしゃいます.

 日本の臨床現場で,実際にコラージュ療法を数多く経験していらっしゃる近喰先生のご説明は,非常に内容が深く大変勉強させて頂けるものだと思います.

★創作コラージュ療法における投映分析的理解(心理アセスメントと,その後の相互理解)
 ただ創作コラージュ療法では,
a,近喰ふじ子先生の上記①にある説明の部分,「~コラージュでいえば作品全体からのイメージ」以降のところが,「切り抜かれたピース(紙片)の内容(写真・挿絵・文字など)からのイメージ,ピースの切り方(輪郭切り,準輪郭切り,ゆとり曲線切り,直線切りといった,切り取り方の種類),ピースの貼り方(ミカエル・グリュンワルトなどが証明した空間象徴的な意味でのピースの貼り方の位置関係,およびピース同士を重ねて貼った場合の上下関係<上掛け貼り,中間貼り,下敷き貼り>など)からのメッセージが参考になる」と変わります.

b,また近喰ふじ子先生の上記②にある「作品を見立てるには,なんといっても感性が必要である.~」以下のご指摘に対しては,「感性的側面と同時に,理性的な(学習的な)考察力を養うことが必要である」と変わります.
 つまり近喰先生のおっしゃる「作品を見て何に心を動かされたか.これまでに培ってきた常識的センスが基礎となる」といった点については異存がないのですが,「作品を前に,自分の内なるこころの動きに素直に従い,制作したクライエントの内なるこころと対話することである」といった抽象的な姿勢では,分析が進むようにはならないと思われるのです.

 美術鑑賞的視点=感性的側面による観る力と,統計学的検証などによって証明された,あるいは永年の経験によって裏付けされた深層心理学的視点=理性的な(学習的な)視点による診る力との双方が必要,と思われるのです.

c,近喰先生の上記③については,クライエントにお聞きしてもお聞きしなくても,どちらでも良いのではと思います.ただテーマをお聞きする場合,クライエントの様子を観察しながらお聞きする必要が出てきます.
 以前,川崎市のある医科大学で行っていたコラージュ療法研究会で発表された事例の中に,「コラージュ作りが終わると毎回セラピストが制作テーマを聞くので,コラージュが嫌いになってしまった」といったものがありました.もし制作テーマをお聞きするのであれば,このようなことにならないよう,最善に注意を払う必要があります.

d,近喰先生の上記④については,NPO日本クリエイティヴ・セラピスト協会の三つ折りリーフレットの中に,
「街を歩いている時,髪型や身なりを整える訳ではないのに,ショーウィンドーなどのガラスを鏡にして,ふと自分の姿を写し,確かめようと見てしまうといった経験はありませんか?
 自分の姿が確かめられると,不思議とこころが安らぐ感じ.外見だけではなく『こころ』にも同じことが起きるとしたら……,
 クリエイティヴ・セラピーは,そんな不思議とこころが安らぐ感じを大切にする,アート系のセラピーです」
 ……という文章があります.
 それまで曖昧模糊としていた感じ,何かは分からないが,何となく感じていた不安などが,クライエントとセラピストとの共同作業によって明らかになってくると,それだけでクライエントはこころの安定を感じ始めます.
 創作コラージュ療法は,この点が日本で一般的なコラージュ療法と最も考え方を異にしているところのように思います.

e,近喰先生の上記⑤については,創作コラージュ療法も全く同じ捉え方です.
                    (つづく)

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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析④ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★コラージュの制作過程(コラージュ療法)と創作過程(創作コラージュ療法)
 ①コラージュの制作過程
近喰ふじ子先生や森谷寛之先生たちが行っているコラージュ療法では,通常,クライエントがコラージュを作っている間,セラピストは傍で見守っていて,クライエントと一緒に作るということは余り多くはありません.
 コラージュ療法が「持ち運びが出来る簡易箱庭」という視点から実用化されたこと(森谷寛之先生)とか,あるいは分析する際の方法として,元文化庁長官の故河合隼雄先生の「箱庭療法」からの知見を援用応用してきたこと(近喰ふじ子先生)によるものではないかと思います.
 ※:箱庭療法では通常,クライエントとセラピストとが一緒に作るということはほぼありません.セラピストはクライエントの傍で,原則として黙って見守っています.
 箱庭はセット自体がかなり高額なものです.心理テスト専門問屋が扱っている箱庭セットは,ミニチュアが基本的な種類しか備わっていないセットでも1セット数10万円します.セラピー現場で実際に使われているセットになると,多くは200万円~300万円かけてミニチュアの種類を増やし,付随して棚も増設されています.ですので,基本的に1セットしか設置していないセラピーオフィスが多いことも,一緒に作らない理由の1つのように思います.

 (A)自主的制作法(個別法) → セラピストはコラージュ作品を制作しません.クライエントが一人でコラージュ作品を制作する方法です.

 (B)同時制作法 → セラピストとクライエントが同時にコラージュ作品を制作します.なお近喰ふじ子先生は,母親とクライエントが同時に制作する場合は,「母子同時制作法」という名称を別に付けています.

 (C)宿題法 → クライエントが自宅で一人でコラージュ作品を制作し,次のセラピー時に持参する方法です.セラピー時間の短縮が出来るといった利点があります.

 (D)合同法 → 家族全員をクライエントとして対応する時などに用いる方法で,クライエント家族のメンバー全員が1枚の台紙にピース(紙片)を切り抜いて交互に貼っていく方法です.
 順番はジャンケンで決め,その決まった順番で台紙の好きな場所に貼っていきます.

 (E)課題コラージュ法 → コラージュ制作に際して,セラピスト側からクライエントに課題(テーマ)を提示して制作して頂く方法です.

 ②コラージュの創作過程
 クリエイティヴ・セラピーにおける創作コラージュ療法では,必要に応じて,クライエントとセラピストとが隣り合わせの席で,あるいは斜向かいの席に座って一緒にコラージュ創りを行います.また双方で,雑談を含めた会話を交わします.
 もちろんコラージュ療法の制作過程のように,セラピストがクライエントの創作過程を見守っているだけといったこともケースによってはありますが,頻度的には少ない方です.但しこの場合でも,黙って見守っているということはありません.必ず雑談を含めた会話を交わします.
 セラピストもクライエントと一緒にコラージュ創りを行った方が,「セラピストも一緒にクライエントの課題解決や症状改善に向けた歩みを共有している」といった一体感をクライエントが実感しやすく,有効だという実務経験によるものです.
 ※:創作コラージュ療法でクライエントとセラピストとがコラージュを一緒に創る主な方法には,3つの方法があります.
 (A)同時相互創作法 → クライエントとセラピストとが隣り合わせの席または斜向かいの席などに座って,双方がそれぞれのコラージュ作品を創作します.創作中,雑談を含め会話は自由に交わし合います.もちろん,コラージュ材料の貰い合い譲り合いも自由です.
 クライエントとセラピストとが1つの部屋で同じ時間を同じことをしながら共有し合うことによる一体感,相互作用をクライエントの課題解決や症状改善に役立てる方法という意味で,同じ時間から「同時」,相互作用から「相互」,創作過程から「創作」をとって,「同時相互創作法」と呼んでいます.

 (B)交互合同創作法 → クライエントとセラピストとが隣り合わせの席または斜向かいの席などに座って,1つのコラージュ作品を合同で創作します.合同で創作する方法のうち,それぞれが別々に選んで切り抜いたピース(紙片)を交互に台紙に貼って創っていく方法を「交互合同創作法」と呼んでいます.

 (C)相談合同創作法 → 1つの作品を合同で創作する方法のうちで,クライエントとセラピストとが雑誌などから切り抜くピースを相談しながら選び,相談しながら台紙に貼り付ける位置を決めて創作していきます.合同で創作する方法のうち,創作過程の始めから終わりまで相談しながら進めていく方法ですので「相談合同創作法」と呼んでいます.

 (D)その他の創作法 → a,コラージュ療法の「自主的制作法(個別法)」は,創作コラージュ療法の場合は主に,コラージュを国際的に一般的な「投映法心理アセスメント」の一技法として用いられているように,他の心理テスト類とのテストバッテリーとして組み合わせる時などに用いている方法です.
 b,また「宿題法」は主に,「Skypeを用いたインターネット・セラピー」などで用いている方法です.
 c,ちなみに「課題コラージュ法」は,特に認知の変容を促す必要のあるクライエントの方々に用いている方法です.
 つまり「自主的制作法(個別法)」,「宿題法」,「課題コラージュ法」については,コラージュ療法,創作コラージュ療法とも同じ方法ということになります.
                     (つづく)

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コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析③ [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析③

★コラージュ療法,創作コラージュ療法の実際
 ①準備するもの

 (A)コラージュ・ボックス法 →(主にコラージュ療法で行い,創作コラージュ療法では余り行わない)
 切り抜き済みのピース(紙片),ハサミ,糊,台紙(四つ切り,八つ切り),箱,クレヨン,サインペンなど.
  ※:大学院臨床心理学専攻修士課程でコラージュ療法を講じている多くの教職員は,台紙として準備する用紙は白画用紙のみで十分と主張しています.「台紙としてカラー用紙を用いることは,コラージュ療法を継続して行う場合,気分転換になってよい」といった程度の認識でいます.

 (B)マガジンピクチャー・コラージュ法 →(コラージュ療法,創作コラージュ療法とも行いますが,特に創作コラージュ療法ではいつもマガジンピクチャー・コラージュ法で行うことを原則とし,マガジンピクチャー・コラージュ法が行えない事情がある場合のみ,コラージュ・ボックス法を行っています)
 雑誌,ハサミ,糊,台紙(四つ切り,八つ切り),クレヨン,サインペンなど.
  ※:数年前までは準備するものの中にカッターナイフが含まれていました.その後東北大学大学院教授川島隆太先生のご研究の中に,「リンゴや大根などの皮むきに『皮むき器』を使った時の脳の反応部位はすごく狭い範囲でしたが,『包丁』を使って行った時の反応部位は大脳全体に広がっていました.従って『脳の活性化』を図って認知症などの予防や進行を遅らせるのには,『皮むき器』ではなく『包丁』を使って行った方が良いと思います」といったものがありました.
 そこでコラージュの創作過程でも,「ピースの切り抜き・切り取りを行う場合には,『皮むき器』に近い手の動きになる『カッターナイフ』より『包丁』に近い手の動きになる『ハサミ』だけにしましょう」ということで,カッターナイフが除外されることになりました.
  ※:創作コラージュ療法では,台紙として17色のカラー用紙を準備します.17色のカラー台紙は,コラージュ作者がご自身の作品を「こころを映す鏡」のように観て自分自身の「こころの安定」に役立てたり,臨床心理士やクリエイティヴ・セラピスト(略称:CT)がクライエントの方のこころの様子を理解してクライエントと共有し,セラピーに役立てるために行う分析に必要な最小限の色彩種類数で,かつそれだけあれば十分という最大限の色彩種類数です.
 具体的には山梨大学名誉教授・故松岡武先生がご研究の中で使っておられた「色彩表」中にある16色プラス白の,合計17色です.
  ※:創作コラージュ療法では,クレヨン,サインペンなども準備しますが,コラージュ療法と違って「はじめからクライエントの眼に留まるところには置いていません.セラピー中にクライエントから「描き込みもしたいのですが,何かありませんか?」と要求があった場合だけ,「ありますよ」と言って提供します.

 ②対象
  近喰ふじ子先生は,「幼児~老年期に至るまでの幅広い年齢層に対応可能」とされています.
  私が直接行った創作コラージュ療法事例および私が修士論文の指導を行った数大学院の大学院生たちの具体的な対象範囲は,小学校2年生の女児から満93歳のご婦人までです.
  ちなみにクリエイティヴ・セラピーとして創作コラージュ療法を継続的に体験されたその93歳のご婦人は,担当していた大学院生に「創作コラージュ療法はいつも勉強になるから楽しい」とおっしゃって,当日が国政選挙の投票日に重なっていた時には「期日前投票を済ませて」までお越し頂けたそうです.
  ※:小学校2年生以下の児童を含む幼児小児のうち,いったい何歳くらいからが対象範囲になるのかといった点については,私自身は具体例を知りませんので分かりません.
 ただ幼児小児の場合,対象にしてはならない条件があるとしたら「ハサミを扱う危険性」だけではないかと思います.従って保護者や保育師などの付き添い者によって「幼児がハサミを扱う危険性を除外できる条件」が整っていれば,保育園児などでも可能ではないかと思います.

 ③実施(導入)方法

 (A)コラージュ療法
  セラピスト:「ここに大きさの違う2種類の台紙があります.好きな大きさの台紙を使って下さい」 → (コラージュ・ボックス法,マガジンピクチャー・コラージュ法とも)
  セラピスト:「この台紙は縦に使用しても,横に使用しても構いません」 → (同上)
  セラピスト:「また,ここにある箱の中には沢山の切り抜きが入っています」 → (コラージュ・ボックス法)
  セラピスト:「ここに何冊かの雑誌やパンフレットなどがあります」 → (マガジンピクチャー・コラージュ法)
  セラピスト:「気になったものや好きなものを選んで,自分の好きなように切り,貼ってみて下さい」 → (コラージュ・ボックス法,マガジンピクチャー・コラージュ法とも)

 (B)創作コラージュ療法
  クリエイティヴ・セラピスト(以下,CTと略):「そちらに17種類のカラー台紙があります」
  CT:「ご持参頂いた雑誌類の中から気の向いたものを選び,気の向くまま切り抜いて,気分次第で選んだ色のカラー台紙に貼って下さい」
  CT:「カラー台紙は雑誌類から切り抜き始める前に選んでも,切り抜いたあとで選んでも,どちらでも結構ですよ」
  CT:「貼り終わって自分で『もう終わり』とか,『出来上がり』と思った時が『完成』の時です」
  CT:「上手とか下手とかは全く関係ありませんので,気楽に創って下さい」
                    (つづく)

コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析② [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

 ・・・以下は前回の終わりの部分です・・・
  ※:コラージュ・ボックス法や(A)による方法は,コラージュの材料をセラピスト側で準備しているため,クライエントの作品から得られる情報量が限られるといった問題点があります.
 これに対して(B)による方法は,コラージュの材料をクライエント側に準備して頂くので,クライエントの作品から得られる情報量が多く,かつその情報の中にはクライエントの方の生活環境・生活状態に関する貴重な資料が含まれている場合が多いといった特長があります.         (つづく)
 ・・・以上は前回の終わりの部分です・・・

  ※:例えば不登校中の小学5年生男児の母親から男児のセラピーを依頼された時,セラピストと母親との間で次のような会話の遣り取りがありました.

セラピスト 「私たちのオフィスではアセスメントの1つとしてコラージュを創って頂いています.そこでコラージュの材料に使う不要の雑誌類を2~3冊お持ち頂きたいのですが~」
母親 「雑誌類をですか? ウチには雑誌のようなものはありません.雑誌のような,ためにならないものは一切買わないことにしているのです.だから一冊もありません」
セラピスト 「じゃぁ,新聞の折り込みチラシや~」
母親 「ウチにはチラシもありません.新聞屋さんにお話をして,『ウチは洗剤などのサービス品も要りませんし,1ヶ月の無料サービス新聞配達も要りません.それでもオタクの新聞を取り続ける約束をします.その代わり邪魔なチラシを入れずに新聞だけを配達して下さい』ということになっています.だからチラシもないのです」
セラピスト 「分かりました.ではコラージュ材料は私どもで用意しましょう」

 どうでしょうか?
セラピストと不登校男児の母親とのこんな会話の遣り取りがあっただけでも,“不登校男児の不登校原因の1つが自然に浮かび上がってきている”といった感じを受けませんか?
このような貴重な情報は,コラージュ・ボックス法やマガジンピクチャー・コラージュ法の(A)による方法では,一切分かりません.(B)による方法であってこそ,はじめて貴重な情報として浮かび上がってくるのです.

★創作方法の種類
 ①単独創作法(自主的制作法=個別法) → セラピストはコラージュを創作せずに,クライエントだけが一人でコラージュを創作する方法です.(主にコラージュ療法で採用している方法です)
  ※:通常,箱庭療法が単独制作法で行われるため,素直にその方法を踏襲しているのではないかと思います.セラピストは観察しているだけなので観察は十分出来ますが,クライエントは「創らされている感」を抱きやすくなります.従って緊張感の高い,防衛的な作品傾向が表れやすくなります.

 ②同時創作法(同時制作法) → クライエントとセラピストとが同時に(それぞれの)コラージュを創作する方法です.(主に創作コラージュ療法で採用している方法です)
  ※:セラピストもクライエントの隣などで一緒にコラージュ創作をするので,単独創作法におけるクライエントのように「創らされている感」がなくなります.またセラピストと一緒に課題解決や症状改善に取り組んでいるといった一体感がクライエントとの間に生じやすいといった特長があります.

 ③クライエント同時創作法 → クライエントが夫妻または親子の場合,夫妻二人とも同時に創って頂く方法や,親子二人とも同時に創って頂く方法です.
  ※:近喰ふじ子先生は,小児のクライエントとその母親との二人同時にコラージュを創って頂く場合,作品の内容とは別に,お二人の創作過程の様子を観察し,親子間の“心理的力動関係”を理解するのに役立てていらっしゃるように思います.
  ※:創作コラージュ療法でクライエント夫妻に同時にコラージュを創って頂く場合は,夫妻のどちらがクライエントだったとしても,クライエントを支え続けなければならないもう一方の配偶者の心理的負担を軽減することが,直接クライエントの課題解決や症状改善に役立つといった経験によるものです.

 ④課題法(宿題法) → クライエントが自宅で一人でコラージュを創作し,次回のセラピー(カウンセリング)時に持参するといった方法です.
  ※:コラージュ療法では,セラピー(カウンセリング)時間の短縮を目的に行われているようです.
  ※:創作コラージュ療法では,Skypeのテレビ電話会議システムを用いた「インターネット・セラピー」で行われている方法です.クライエントが創ったコラージュをデジタルカメラで撮ってセラピスト宛にインターネットで送信し,クライエント・セラピストともそれぞれが自分の部屋で同じコラージュ作品を観ながら作品を通してのセラピーを進めていくといった要領で,高い効果を挙げ始めています.
 現在,国内だけではなく,遠くスエーデンのストックホルム在住の方ともインターネット・セラピー実験を行っい始めています.

 ⑤合同法 → 家族療法では,クライエント家族メンバー全員が一枚の台紙に交互にピース(雑誌や新聞などから切り抜いた紙片)を切り抜いて貼っていく方法です.
  ※:創作コラージュ療法では,発達障害が疑われるクライエントとのセラピーなどにおいては,クライエントとセラピストとの間でピースを交互に貼ってコラージュを創っていく方法を採用することもあります.

 ⑥課題コラージュ法 → コラージュの創作に際して,課題(テーマ)を決めて創作する方法です.
 コラージュ創作に不慣れなクライエントの場合,課題が決められていた方が創りやすいといった利点もありますが,コラージュを心理アセスメントとしての分析対象にする場合は,得られる情報量が少なくなるといった欠点もあります.

 ⑦その他のコラージュ法 → その他色々なコラージュ法が考案されています.中には「まず台紙を丸く切った上で,つまり丸い台紙にピースを貼って創るコラージュ法」などという方法を考案された方もいらっしゃいます.
 しかもそれを大学院臨床心理学専攻修士課程の大学院生などを対象としたセミナーでの実習内容として行っている方がいらっしゃるようですが,私はこのような方法には賛同できません.
 コラージュ療法であれ創作コラージュ療法であれ,目的は「いろいろな方法でコラージュを創ってみる」ということではなく,「コラージュ創りを通してクライエントの課題解決や症状改善に役立てる」ことのはずです.
 丸い台紙を作った上でコラージュ創りをする方法を考案するのなら,『丸い台紙でコラージュを創ると,長方形の台紙でコラージュを創るよりコレコレの点でクライエントのためになる(あるいは長方形の台紙で創るより,コレコレの点でセラピーに有効である)といった考案理由の説明が必要だと思います.
                   (つづく)


コラージュ療法&創作コラージュ療法,進め方と分析① [コラージュ療法&創作コラージュ療法]

★コラージュ(collage)はフランス語で,「ニカワで貼って作品を創る行為」と「そのような行為によって出来上がった作品」を指します.今では当然ニカワではなく,糊を使って創ることが多くなっています.
もっとも普及しているコラージュは,雑誌,新聞,カタログ,パンフレットなどの写真や挿絵,文字などを気の向くままハサミで切り抜いて,それを自由に台紙(多くは四つ切りまたは八つ切りの画用紙)に貼り付け,作者が「もうこれで終わり」と感じた時が出来上がりという,すごく簡単なものです.
従って子どもから高齢者まで,いろんな人に親しまれています.

★コラージュ療法&創作コラージュ療法の創作方法
 ①コラージュ・ボックス法 →(主にコラージュ療法で用いる.創作コラージュ療法ではあまり用いられない)
 ・・森谷寛之先生が愛知医科大学助教授の時,「持ち運びの出来る簡易箱庭」の発想から考案した方法とされ,箱庭療法のミニチュアのように,セラピスト側で雑誌,新聞,カタログ,パンフレトなどの写真や挿絵を前もって切り抜いて箱の中に入れておいたもの(場合によっては種類別に分けた箱を用意する.例えばお菓子ばかりを入れた箱,花ばかりを入れた箱といった具合)をクライエントに提示して創って頂く方法をいいます.

 ②マガジンピクチャー・コラージュ(MPC)法 →(コラージュ療法,創作コラージュ療法ともに用いられる.ちなみに下記の(A)は,東京家政大学教授の近喰ふじ子先生が行っているコラージュ療法の場合の解説です.また(B)は,創作コラージュ療法の場合の解説です.

 (A)セラピストが雑誌,パンフレット,カタログ,新聞,広告などをあらかじめ用意し,それをクライエントに提供することで制作する方法です.
  ※:雑誌は何種類か用意し,写真やイラストの多いものを準備します.
  ※:クライエントが雑誌を読んでしまい,コラージュ・ボックス法に比べて制作時間がかかる傾向があります.

 (B)クライエントの方に前もって,不要の雑誌類2~3冊を持ってきて頂くよう依頼し(なければ新聞,カタログ,パンフレット,広告などを持ってきて頂く),クライエントの方の生活感が感じられるものを使う方法です.
  ※:持ってくるのを忘れることもあるので,セラピスト側でも予備を準備しておく必要があります.
  ※:コラージュ・ボックス法や(A)による方法は,コラージュの材料をセラピスト側で準備しているため,クライエントの作品から得られる情報量が限られる問題点があります.
 これに対して(B)による方法は,コラージュの材料をクライエントの方に準備して頂くので,クライエントの作品から得られる情報量が多く,かつその情報の中にはクライエントの方の生活環境・生活状態に関する貴重な資料が含まれている場合が多いといった特長があります.
                          (つづく)


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